Aさんにとっての100点は努力の証です。褒めてもらい喜びとなるはずの感情が、否定され悲しみに変わってしまいました。「100点取っても喜んではいけない」と言われているのと同じですよね。とうとうAさんは喜びの感情を抑圧し、心の中に沈めてしまいました。
こうなるとやっかいです。抑圧された感情は、例え障害が無くなったとしても、未解決な感情として心に残り続けてしまいます。
なぜこんな事になったのでしょうか。幼少期Aさんは、頑張った自分を褒めてもらいたいという気持ちを抑圧し「自分は頑張っても決して喜んだり満足してはいけないんだ。」という誤った価値観を持ってしまいました。
もしかしたら親は叱咤激励のつもりだったかもしれません。しかし子どもだったAさんには、そう捉えることができないのはやむを得ないことです。しかし「頑張りが足りないから褒められない」「自分には価値がない」と自分を粗末に扱っているのはAさん自身なのです。だから、その心の傷に気づき、手放せるようになるまで、同じような現象を見させられるのです。
また、親から暴力を受けた人は、悲しみ・怒り・恐れという感情を抑圧した為に、「自分は殴られて当然の人間である」という誤った価値観を持ち成長します。そして「自分が馬鹿だから殴られる」「自分には価値がない」と自分自身を粗末に扱います。だから結婚しても暴力を振るうような人を夫にしてしまうのです。しかしこの夫は「自分を粗末にしているインナーチャイルドがいますよ」と気づかせてくれる存在でもあるのです。
自分の身に繰り返し起きる現象があれば、一度深く掘り下げてみてください。新しい気づきが生まれるかもしれません。